




台東区 2010年
今はそれほどでもありませんが、子供の頃、歯医者さんが怖かった人は少なくないと思います。
勿論、大人になったこと、医療の進歩などで、現在はさほどそこまで思わなくなりましたが、散歩中にこうした見事なひげ文字の金文字看板をみつけると、ビジュアルからの心理的な影響も随分とあったのではないかと思わずにはいられません。
上野駅より浅草通りを稲荷町方向へ少し歩くと出会う見事な洋館建築。「比留間歯科医院」さんです。
竣工は一九二九年(昭和四年)、初代院長の比留間作次郎氏が自ら設計したとか。
楷書の木製看板は、細かな払いの部分まで作りこんでありますが、現在でも朽ちること無く残っています。持ち主の並々ならぬ愛情を感じます。篆書の木彫看板も見応えのある見事な書風です。
けれども、今見てもやっぱりすこし怖いですね……。
画数の多い歯科の「歯」、医院の「医」の旧字が、さらに心理的な恐怖を煽っているような気がします……。
浅草通りをこのまま東へ歩いてゆくと稲荷町。左右に仏壇仏具店が立ち並び、こちらでも旧い建物や意匠を満喫できます。そのまま歩いてかっぱ橋。ニイミ※さんに挨拶をして、そのままかっぱ橋商店街を歩き、新旧立ち並ぶ意匠の渦に巻き込まれるのもおすすめです。小腹がすいていたら、そのまま田原町まで出て、ほていやさんで豆菓子を求め、駒形橋から隅田川の遊歩道で、川を見ながら一休みするのもおすすめです。
その後は川を越え、墨田区でまた散歩を続けることにしましょうか。
○比留間歯科医院
