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 下町と言われる場所に移り住んで、随分と経ちました。
 こちらに来てすぐに気づいたのが、町歩きの面白さ。路地、裏道、街道筋、其処此処に残る、古い意匠や文字の数々に魅了されながらの町歩きの面白さ。
 ふと迷い込んだ場所で出会う文字は、まるでタイムカプセルのよう。さまざまな記憶を纏って、こちらに話しかけてきます。
 やぁよく来たね。ここにはかつて、多くの人が集まり、髙歌放吟したもんだ。いまでは寂しくなってしまったけど、店主は元気さ。ここはいつでも人が集まるところ。君もいつでも来たらいい。
 思いがけないお誘いを心に刻み数ヶ月、再度訪ねてみれば、真新しいビルに様変わり。また、新しい歴史が始まっています。
 そんなことが何度も続いた頃、カメラを片手に町を歩き始めました。
 はじめの頃はフィルムカメラで、のちにデジタルになりましたが、飽くことなく、てくてくずんずん歩いては、文字からの声に耳を傾けています。
 タイトルの「犬歩當文字録」は、敬愛する民俗学者、澁澤敬三氏の「犬歩當棒録」にあやかりました。
 さて、今日はどんな文字に出会えるかな。

関宙明/關宙明   Hiroaki Seki
mr-universe.jp



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