浅草のアクリル切り文字

台東区 2012年

 浅草。なんて素敵な響きでしょう。「だまって十年かよえば、浅草が自分の休日になる。つまり、休日に浅草に行くのではなくて、浅草に行くことが自分の休日になるのである。」とは杉浦日向子さんの言葉。そう、銀座線、浅草線のその先に、非日常が待っているのです。
 浅草は素敵な文字の宝庫でもあります。有りすぎて迷ってしまいますが、口開けを飾るのは、観音裏はヨシカミさんではなく、「ぱいち」さん登場です。
 「洋食」。なんとも心踊る言葉ではありませんか。踊る心そのままに、看板の「洋 PAICHI 食」の文字もまるで踊っているようではないですか。
 本当は暖簾の文字も見事なんですけれども、このときはまだ早い時間だったもので、出ていませんでした。
 昭和十一年創業のぱいちさんの名物はビーフシチュー。現在は三代目がお店を継ぎ……と、そんな話は検索などなどしていただくとして、ちょいと見上げますと、また見事な文字をあしらった行灯看板が。
 「おなじみ」という惹句、地元気質を感じるいい言葉、文字ではありませんか。馴染みになりたいものですなぁ。席に付けば何も言わずとも「いつもの」ビールとカツレツが並ぶ。少しサラダ多めにしといたよ。すみませんねぇ三代目。なんて身体を気遣われたりして。
 妄想に胸膨らむ浅草歩きでございます。

○洋食ぱいち

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *