川の畔の素朴な文字

江東区

 川のそばに住んでいるからでしょうか、川の畔にある家屋や店舗には、特別なシンパシーを抱いてしまいます。
 門前仲町で見つけたこの「おはる」もその一つ。
 「リバーサイド」などという横文字よりも、やっぱり「川の畔」としか表しようのない、大横川と仙台堀川を結ぶ大島西支川に掛かる「福島橋」から見える佇まいの正体は、その名の通り昭和三六年創業の中華そば屋さんです。
 大書されたCocacolaのロゴと共に屋号を掲げる看板は、お店が看板を出す場所を企業に半分提供することで、その費用を企業が請け負うといういわゆるバーター看板。昭和の三〇〜四〇年代にかけての店舗によく見られるタイプです。
 ゴチック体も楷書も、特別な部類ではありませんが、挟むかたちに飾られたいわゆるラーメンどんぶり文様とともに素朴な味があり、実直な店主の人柄が偲ばれます。
 いつかはこちらで中華そばをと願っていたものでしたが、残念ながら昨年夏に閉店されたそうです。
 二〇二〇年に向けて、川の風景がどんどん変わっていきますね。

○中華そばおはる


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