見番通りの粋な文字

墨田区 2012年

 麻の暖簾に墨染の屋号。「めうがや」と書いて「みょうがや」さんは、慶応三(1867)年創業の、あつらえ足袋の専門店。大正一二年に浅草から現在の向島へ移転されたそうです。
 向島といえば花街。向島は「宮様から畳屋様まで楽しめる」などと言われるように、堅苦しくなく遊べるところだったそうです。
 往時には、待合や料理屋だけでなく、芸妓さん向けのお店も数多く軒を連ね、大変に賑やかなものだったと思いますが、現在このあたりを見回してみても、そのような風情はあまり感じられず、すぐ近くの「見番通り」に、ぽつぽつと料理屋さんが残っている感じです
 そういう意味では、この「めうがや」さんのさっぱりと清潔な暖簾に染められた、丸をあしらった粋な意匠は、希少な花街らし華やかさを残すものでもあります。
 「めうがや」さんから、百メートルほど北へ歩けば隅田川。そこにある桜橋から吾妻橋までの川沿いには、両岸に千本以上の桜が植えられ、春先には都内屈指の見事な桜のアーチを存分に楽しむことができます。
 ちなみにこの近くには下町の名店「かどや」さんがあり、全国各地からのよりすぐりの日本酒と、うまい刺身が、なんとも嬉しい値段で、こちらは一年中楽しめます。
 向島散策の折には、是非お立ち寄りください。(だれ?)

○向島 めうがや

 

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