宿場町の文字

足立区 2011年

 「千住宿」は「品川宿」と並ぶ江戸近郊最大の宿場町の一つ。浅草から隅田川を北上し、川の流れに沿ってゆくと出会う「千住大橋」は、江戸初期の頃、隅田川に初めてかけられた橋だとか。小塚原刑場が近いことからか、ちょっと陰気な怪談噺「もう半分」の舞台ともなっている場所です。
 そんな千住の町歩きは、歴史好きには勿論、文字好きにも楽しい町。宿場町通り(旧日光街道)を歩けば、其処此処で素敵な意匠に出会います。
 ゆっくり歩いて一五分くらい。少し疲れたかな、と感じたそのあたりで、「かどやの槍かけだんご」と素朴な書風で大書された大きな看板に出会うと、つい嬉しくなってしまいます。創業は昭和二七年ですが、建物自体は明治四〇年築、元は足袋屋さんだったというのも、往年の宿場町の面影を感じるエピソードです。
 炭火で焼いただんごは、みたらしとあんこの二種類。この建物も現在は建て替えられ、趣が変わってしまいましたが、長い間千住の人々に親しまれた味は、今もなお健在です。

○かどやの槍かけだんご

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *