下ろしたてのような文字

墨田区

 なんと堂々としているのでしょう。押上と浅草を結ぶ浅草通りに面したこのお店は、嘗ては本所区と呼ばれた業平に位置し、真っ白な地に大書された「洗濯屋」の文字とともに、スカイツリーのビューポイントとしてランドマーク的な存在として知られています。
 震災、空襲を経て復興を成したこの辺りは、スカイツリーの竣工とともに再整備が進みましたが、路地へ入ると未だ旧い建物が残っており、ふとしたきっかけでタイムスリップしたような感覚を覚える場所でもあります。
 ちなみに「洗濯屋」という名称はいつ頃迄使われていたのだろうと調べてみると、「クリーニング」という言葉が知られるようになったのが、明治四一年、現在でも業界最王手の白洋舎がドライクリーニングを提供し始めてからだとか。
 ということは、それ以降は徐々に「クリーニング」という名前に代えられていったのでしょう。
 となると、このお店の出自もそれなりに旧そうです。
 しかしながら、呼び名こそ旧くはありますが、地も文字も綺麗に塗り直され、いつまでもまるで仕立てたばかりのようにされているのは「洗濯屋」の面目躍如と言えるでしょう。きっと相当なこだわりがあるのではないでしょうか。素敵すぎます。
 全くの余談ですが、押上にはもつ焼きの銘店「稲垣」があり、(私の)散歩に欠かせない楽しみのひとつとなっています。
○白井クリーニング店


Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *